鹿革細工

●狩り

iegotoの革細工は狩猟から始まります。

作家自ら銃と罠の狩猟免許を取得し山へ入り、夏は虫の襲来、冬は凍える寒さにジッと耐え、野生と相対します。

現れた獣に銃口を向け、引き金を引く。罠にかかった相手を槍で突く。
多少は慣れたものの、命のやりとりにやはり心は揺れ動きます。

初めて銃で仕留めたとき、体中が身震いし抑えが利かなくなったことは今も忘れられません。

ですが、生き物を殺めることが好きなわけでは決してありません。
肉にしろ魚にしろ野菜・果物にしろ、他の生き物の命を糧にして生きていかざるを得ないのが、私たちの定めです。
自ら手を下すか、他の者に委ねるか。その違いがあるのみ。
生き物を屠り、捌く業を蔑む風潮もありますが、むしろ気高く誉れの多い営みではないかと感じています。
頂いた命は天の恵み。無駄にすることなく活かしたい。
そんな想いがiegotoの革細工の原点です。



●鹿革
当地(広島県安芸高田市)で獲れる大型獣は主にシカとイノシシ。
古来より、シカ・イノシシによる農業被害があったようですが、猟師の高齢化、中山間地の過疎化など、里山での人の力の弱まりに伴って、ここ20年ほどでまた一気に野生の勢力が強まっているようです。
そこで猟師を中心に、通年捕獲活動が行われています。(私も参加してます)
捕獲されたイノシシはとても旨いので、専ら猟師とその仲間たちで自家消費。
シカも旨いのですが、里では人気薄で埋設するかペットフードとされていたところジビエとして活用すべく食肉処理施設が立ち上がりました。
現在では捕獲したシカは施設に運び込まれ、ジビエとして流通するようになっています。
iegotoは施設に集まった鹿皮の活用を主目的としています。

鹿革は非常にキメが細かく、軽くて丈夫なうえ通気性が良いため、日本古代より足袋や武具、衣料など幅広く愛用されてきました。東大寺正倉院にある「鹿革製品」は千年以上の時を経てもなお柔軟性を失わず、新鮮な色彩を保っていることから、長期間、柔軟性をキープすることができる革と言われています。

●革細工

iegotoの革細工は2つの軸を持って展開しています。ひとつはデジタルファブリケーション。
iegotoの革細工がはじまったのは2016年。地域おこし協力隊として獣害対策に携わる中で皮の有効活用を模索し試行錯誤が始まりました。
当初、原革を革作家さんに使って貰うべく数軒伺うも折り合いが付かず、自分でやるという結論に至りました。何の予備知識もない状況を救ってくれたのがデジタルファブリケーションでモノ作りを支援するFablab Hiroshima Akitakata。レーザーカッターで革を切り出すことで開発時間を短縮でき、縫製だけで作れる作品ができました。地元産の獣皮は量産が利かずコスト高になるところですが、デジタルの力で最低限に抑えられてます。またレーザー加工により高い再現性が確保できるため、Workshopで好きな色を合わせて作品を作ることもできます。

 もうひとつの軸はコラボレーション。

広島県内の作家を訪ね歩き、鹿革製作のパートナーを探し歩いています。
その道のプロの力を借りて、世に二つとない一点ものを開発しています。現在はエプロン・バッグ・財布。
個性ある鹿革の野生の風合いを慈しんで頂けますと幸いです。

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